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「いつもとは違う奄美群島に出会う」をテーマとした、みしょらんガイド2025の特集「うらシマ散歩」。
第一弾は喜界島が舞台です。
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海中のサンゴ礁が地球内部の力によって持ち上がり、海面に現れて大地となったのが10万年前。それからも少しずつ隆起を続けている不思議な島、喜界島。
聞くごとに、歩くたびに、知られざる「うらシマスポット」が出てきます。そしてそれはすべて「サンゴ」に繋がっていました。集落風景、人々の生活用具、ご神体でさえも、とにかくこの島のすべてが「サンゴ」なのです。
圧倒的なその存在に唖然としてしまうほどの知られざる喜界島を歩いて、サンゴ文化に出会ってみませんか。
うらシマ散歩in喜界島のご紹介です。
現在も年間約2mmという驚異的なスピードで隆起し続けているサンゴの島。
ハブのいない平和な島で、車で1時間くらいで回れます。サトウキビや畜産業が盛んで、白ゴマの生産量は日本一。多くの蝶が飛来・生息する「蝶の島」で、ゆったりとした雰囲気が漂っています。
・面積:56.82 k㎡
・周囲:48.61 km
・人口:約6,000人
・主産業:農業
・飛行機(JAL):奄美大島から約20分/鹿児島から60分
・船:名瀬から約2時間/鹿児島進行から約11時間
聞き取りのなかで興味が沸いたガジュマルへまず向かいました。
意外と巨木が多い喜界島ですが、有名なのは「手久津久のガジュマル」。とても大きく美しいガジュマルで、喜界島に行ったらぜひ見に行ってほしいのですが、今回はまだ見ぬ蒲生のガジュマルへ。山を走る道路の途中に立つ、見事なガジュマルを発見。こちらは推定樹齢850年と言われています。
どこか厳かな雰囲気を放っています。
「夫婦ガジュマル」と呼ばれるいわれは、道路を挟んでそびえたつ2本の巨大なガジュマルを指していたそう。周囲に張り巡らされた根は落石防止にも一役買っていました。
ですが、大雨による土砂崩れにより、1本のガジュマルが無くなってしまったそう。
残されたガジュマルが果たして夫なのか妻なのかはもちろん定かではありませんが、ガジュマルに近づいてよく見てみると、「未亡人」という小さなタグを発見・・・・・!
それだけ島民にとっても愛着のあるガジュマルということですね!
ガジュマルの下に立つと迫力のある存在感に圧倒されます。集落から離れた峠道沿いにあるので行く際には気を付けてください。
喜界島は神社が多い島としても有名で、集落ごとに神社があり、島内にはなんと48カ所もの神社があります。
末吉神社は道路沿いにあってアクセスしやすい神社ですが、なんといっても境内にある巨岩が見もの。ぜひ訪れてほしい場所です。
手の届くぐらい低い鳥居をくぐると(これも不思議ですが)、
参道にある、大樹を背負ったサンゴの巨岩に驚くはず。
大きなサンゴ巨岩は、台座のような小さめのサンゴ石に乗っている状態。
その上にガジュマルなどが根を下ろし、まるでラピュタのような世界が展開されています。
この巨岩はその昔、地形の変化でここに転がってきたのではと言われていますが、下にある小さめの石のほうが年代が新しいこともわかっていて、どのような現象が起きてこの形になったかははっきりとわからないそうです。
「見えざる力の何かがここに巨岩を置いたのでは・・・?」というミステリー伝説もささやかれているとかいないとか。
鳥居の近くにある巨岩にはサンゴ特有のくぼみがありますが、ここに小さなサンゴを入れると厄除けになるということで、はめ込み用の小さなサンゴもきちんと用意されていました。
参拝に訪れた際には、ぜひ試してみてくださいね。
みしょらんガイド2025の特集ページではメイン写真にもなった、驚愕のイチオシスポット。
そびえたつ巨大なサンゴ岩に草木が茂り、まるで海溝のような間を歩きます。
ハブがいない島なので草木が生い茂っている中でも進むことができます。
しばし進むと、木々にうずもれたなかに出てくるのが戦跡のトーチカ(軍事用防御陣地)です。
海溝のような巨岩の隙間を歩きながら、この島が海だったときのことを感じるような不思議な感覚を味わいつつ
戦跡で戦時中のものものしさも感じる場所。
幾重にも歴史や人々の記憶が、地層のように静かに積もっていっているように感じました。
喜界町の指定記念物史跡にもなっているこの場所。
大きな屋敷跡のなかにある、らせん状に掘り下げていった井戸。「ウリ(降り)ガー(井戸)」という意味だそうです。
ウリガーとは横穴式の斜面泉のことを差すそうですが、井戸掘りの技術が進んでいなかった頃、まっすぐ下に掘る井戸が作れなかったため、このようにらせん状に掘り下げた井戸を作ったそうです。
井戸の水はすでに枯れてしまっていますが、水汲み場まで降りることができます(すべりやすいので注意してください)。
地層と草木に覆われた小さな隙間を下っていきます。
ひっそりとしていて暗く、水が出る場所は浅く、汲みやすいようになっていました。
サンゴ礁の島では水はまさに命をつなぐ大切なもの。井戸に下りていくこの道を、多くの人が何度なく行き来したのだろうと、この場所に残る記憶をふと想像しました。
サンゴ礁は、水を通しやすい構造となっているため、サンゴが隆起してできた喜界島は水はけがよく、雨水は地下を通って海に流れ込んでしまいます。そのため、直接的な保水は難しく、日々大量の水が必要となる農業では水の確保は死活問題。
喜界島は農業が盛んな島で、特にサトウキビと白ゴマの生産が有名ですが、この農業用水を確保するため、ダムを造って雨水をせき止めています。
島にとっては生命線とも言える重要で壮大な施設ですが、地下20mの工事用トンネルを無料で見学することができます。
螺旋階段を少し下りていくと、このようなトンネルに。
見学希望の方は喜界土地改良区(水管理センター)にご連絡ください。
喜界島が「サンゴ礁文化の島」と言われているのは、サンゴの石垣やサンゴの巨岩がある、ということだけではなく、
文化自体にサンゴが入り込んでいるところにもあります。
実際に、ノウサンゴが「御神体」としてお祀りされている場所があるということで訪れてきました。
「ビンドゥン様」と呼ばれている小さな祠です。
住民の方がきれいに清めて祀られていました。
ビンドゥン様のいわれは、
その昔、海に浮かんでいたこのサンゴを持って帰ってきたところ、不幸が続いたため、祀るようになったと聞きました。
サンゴを祀るという喜界島ならではの風習を肌で感じられる場所です。
民家の敷地に祀られているので、見学の際は騒がず、お声がけをして中に入るようにしてください。
喜界島は小さな島ですが、神社は47もあり、とても多いと思います。
人々の暮らしのなかで、大いなるものに祈る、ということが当たり前で、身近だったからなのではないでしょうか。
それを現すものの一つとして、塩ビパイプで出来た鳥居があるということで訪れました。
想像していたよりも立派な鳥居です。とても大きい!
祠もきれいに整え清められ、とても大切にされていました。
建築のための物資があまりないこの島では、木材ではなくサンゴや身近にあるものを使っていたのだと島の人が言っていたのが印象的でした。
喜界島にある神社の約半数は保食神社という、食物を司る神様を信仰しています。
上嘉鉄保食神社を案内していただき、訪れました。
拝殿があるのですが、その横にあった、天然の拝所に圧倒されました。
巨岩と本尊が一体となった祈りの場。この大きな岩に対して祈りを捧げていたことがわかります。
島ではいたるところでサンゴを目にします。集落の中に突如あるサンゴの巨岩や、そこかしこにある石垣には、花が咲いたり、隠れハートがあったり。民家でも昔から多くのものにサンゴが使われていましたが、こちらは鉢で今も活躍しています。
信仰の対象にもなっているサンゴ。海、山、集落と、この島のすべてはサンゴでできることを実感できます。
奄美の方言で「ヒンジャー」と呼ばれるヤギ。奄美群島ではヤギを食べる習慣があり、ヤギ料理が古くから親しまれています。
喜界島でももちろんヤギ食文化がありますが、ミネラルたっぷりの野草を食べるヤギは全く臭みがなく、喜界島のヤギなら食べられるという方も多いほど、その美味しさと食べやすさが評判です。
特筆すべきはヤギ料理の種類が多いこと!
ヤギ刺しやヤギ汁はもちろん、ヤギ寿司、ヤギのすき焼き、ヤギ汁うどんのほか、からじゅーりと呼ばれるレアな料理も!からじゅーりはヤギの内臓を血で炒めた料理で、作り方だけ聞くとぎょっとしますが、血生臭い感じは全くせず、甘辛い味付けで仕上げたモツ炒めです。コクがあるのでお酒が進みそうです。
喜界島の特産品そら豆や在来島みかんなど「喜界島産」にこだわったメニューが楽しめる、yuraiba(ゆらいば)ゆいカフェ。パスタは3種類あり、どれも喜界島産の食材を使用しています。また、喜界島でコーヒーを栽培している伊地知珈琲園の100%喜界島産コーヒーを、特殊なドリップでゆいカフェ限定で味わうことができます。
手久津久サンセットパークには「KIKAI」の文字の形をしたオブジェベンチがあります。スマホスタンドもありますので、文字の上に顔を出したりして、思い思いの写真を撮ることもできますよ。
今回の喜界島の旅は多くの島民の方にご協力をいただきました。
喜界島観光物産協会の田邉さん、特定地域づくり協同組合の行本さん、役場の皆さんや伊地知珈琲園の伊地知さん、HOWBEの谷川ご夫妻、toba toba colaのナオコさんとお父さん、島内一のそら豆収穫をしているりえこさん、その他たくさんの喜界町の方々が、うらシマ散歩のテーマにぴったりのスポットやモノ・コトを教えてくださいました。
時には自らガイドを買って出てくださり、私たちが予想もしていなかったスポットに導いていただいたことも!
あたたかくて人懐っこい、喜界島町の皆さんのおかげで、世界のどこにもない、みしょらんガイドだけのディープな喜界島を巡る特集ができあがりました。
いかがでしたか?
多くの人が知るところを「表」とするならば、奄美群島の島は「裏」が多くて、そこにこそ島の魅力が詰まっています。
うらシマを巡る、「うらシマ散歩 in 喜界島」。
ここでしか見つけられないうらシマスポットをぜひ見つけにきてくださいね。
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