2024.8.07  

【特集】みしょらんガイド10年ヒストリー

2014年に産声をあげたみしょらんガイド。

1年1冊の発行を続け、2024年、ついに10号目を発刊することができました。

振り返れば当時は奄美の知名度はまだまだ低く、「どうしたら島の良さを伝えることができるのか」。そんな命題に一年一年、精いっぱいの答えを出していく10年でした。

奄美とともに走り抜けた、みしょらん編集部の汗と涙な10年を振り返ります。

 

表紙とともに振り返る10年

2014年 第1号創刊
【島で食べる美味しいごはんたち】

みしょらんガイド創刊号表紙

(28P/B6判/掲載店舗約60)

実は2012年にWEB版みしょらんガイドが先に立ち上がり、ゆるりゆるりと運営を始めていました。しかし観光客もそこまで多くない上、「WEBサイトでの広告」に対する認知度は低く、広告掲載参加店は一向に増えませんでした。

小康状態を続けていた2014年。しーま代表の深田が、現状を打破すべく、フリーペーパー制作を決意。

編集未経験のスタッフ数名による即席の編集部が発足。アートディレクターに重尚樹氏(島ノコタチArtwork)が参入。

数か月後の2014年8月。めでたく発刊を果たしました。連日の深夜作業を経て、スタッフ一同ふらふらになりながらデータ入稿をしたのを記憶しています。

そしてこの年、LCCバニラエアが奄美大島‐成田に就航。奄美の観光振興の始まりともいえる大きな出来事となります。

▲冊子データを印刷会社に届ける出発式のような形で写真撮影。左から2番目から深田代表、重氏(アートディレクター)、麓編集長。何とも言えない憔悴しきったスタッフの表情がたまりません

 

2015年 第2号
【風土とFood,】

(40P/B6判/掲載店舗約90)

スタッフもページ数も増え、編集にも少し慣れて、苦労しながらも笑顔で校了を迎えることができました。

表紙には唄者の楠田莉子ちゃんが登場。島野菜で島の文化・三味線を表現。野菜はお父さんの楠田ファームさんのもの。野菜三味線を現実化させるため、クリエイターのKIKURAさんに依頼し、これまでにない造形づくりに成功しました。

▲スタッフの子どもたちも一緒に笑顔で発刊記念の撮影

 

2016年 第3号
【食と文化は海を越えて】

(48P/B6判/掲載店舗約130)

スタッフみんなで奄美群島を巡り、掲載店舗は100店舗を突破。部数も10万部の大台に突入しました。

アートディレクター重氏の「食と文化は海を越えて」という素晴らしいコピーと、抜けるような青空と美しい海。海を越えてやってきた野菜船に搭乗するのは、味の郷かさりのスタッフのみなさま。

クリエイターKIKURAさんによって、野菜船が実現。いまでも「この表紙よかったね」、と言われることも多い名作。

▲スタッフ全員が同じ机に着席して編集作業を連日繰り返す。机の上は徐々に乱雑になっていき誰もそれが気にならなくなっていく

 

2017年 第4号
【食のもてなし イモーレとミショーレ】

(52P/A5判/掲載店舗約150)

NHK大河ドラマで西郷隆盛が取り上げられたことで、西郷隆盛流刑の地である奄美にも注目が集まり、観光ブームの追い風に。そんな風にのって奄美に初めて訪れた人々を笑顔でお出迎えする架空の食堂がオープンした、という表紙を制作。

西郷さんと愛かなさんだけでなく、アマミノクロウサギ、ケンムン、おじ、おばも勢ぞろいして観光客を出迎えます。にぎやかにあたたかに、「いもーれ!(ようこそいらっしゃい)」&「みしょーれ!(どうぞ召し上がれ)」の気持ちを伝える表紙となりました。

そしてより表現スペースを広げるためにB6判からA5判へジャンプアップ。

またこの年、はじめてエントリーした「日本タウン誌・フリーペーパー大賞2017」で優秀賞を受賞するなど快挙もありました。

 

2018年 第5号
【島ゴハン急行ワンダーランド555!】

(52P/A5判/掲載店舗約150)

5周年記念号。この年、観光客は68万人に到達し、観光ニーズの高まりは右肩あがりに。スカイマークの奄美大島‐鹿児島便も就航。

表紙は、株式会社しーまがプロデュースをスタートしたあやまる岬観光公園のサイクル列車をモチーフに、巨大鶏飯を組み合わせて5周年を元気に表現しました。

 

2019年 第6号
【つなごう 食と旅の記憶】

(60P/A5判/掲載店舗約150)

観光客が増え飲食店舗も増えていく中で、みしょらんガイドの果たす役割について考え直す機会がありました。最新の飲食情報・観光情報を伝えるだけではなく、この島で大切にされてきた生活の中で生まれた食文化もしっかりと伝えていこう、と原点に立ち戻って考えたテーマと表紙です。

島じゅーり(郷土料理)と島食材が並ぶ食卓を囲むのは、ハジチ(明治時代ごろまで慣習となっていた島の女性の入れ墨)のある手、毛むくじゃらの獣=ケンムンの手、そして現代の私たちの手。

時代を越えて島人たちが愛してきたのが、滋味深く、優しく美味しい島料理の数々。その記憶を伝えていこう、という思いを込めています。

 

2021年 第7号
【味わおう、ここにあるタカラモノ】

(60P/A5判/掲載店舗約150)

6号を発刊した翌年に新型コロナウイルスが世界中にまん延。奄美も例外ではなくすべての生活様式が変化し、経済活動も困難を極めたことから、2020年は発刊見送りを決断。

2年ぶりに7号目発刊を果たしたときは、まさに感無量でした。

また、発刊直後の2021年7月26日に奄美大島と徳之島が世界自然遺産に登録される見通しであることがわかり、テーマを決定。

ずっと探していたタカラモノは海の向こうではなく、実はこの足元に、島自体だったのだと。観光発展が遅れているという指摘は長くあったけれど、だからこそ豊かな自然、豊かな文化はこの島に残り、それを大切にする暮らしが守られてきました。そこに評価を得たことに、ただただ感動と喜びを感じ、冊子で表現したいと思いました。

表紙は奄美大島在住のイラストレーター尚味さんにモチーフを描いてもらい、プリントしてジオラマで「島」を表現。石や砂などは実物です。そしてその島を取り囲む丸い円は、望遠鏡で覗いた先でタカラの島を発見した、というストーリーを模しているのです。

 

2022年 第8号
【奄美を味わいつくそう、探検のはじまりだ】

(68P/A5判/掲載店舗約150)

前号で「宝の島」を発見した探検隊が、島を探検する、というコンセプトの表紙。

奄美大島は上からみたらほぼ森の島。しかしその緑の島のなかは、実に色とりどり。植物だけでなく、多種多様な文化もため息が出るほどの豊かさです。

探検隊が島に上陸し探検して島をしるなかで島の多彩・多様さに驚く、という様を表現しています。

世界自然遺産は奄美を知ってもらえる機会となっています。しかし本当の島の魅力は、森や海だけではありません。どこにもない奄美の魅力はその先にあることを少しでも伝えたいという思いでした。

▲大きなベニヤ板に島野菜を打ち付けて表紙大道具が完成。撮影後は野菜はまかないにして連日美味しくいただきました

今号から、しーまスタッフだった染川琴音さんが外部スタッフとしてみしょらんガイド表紙企画・ディレクター・カメラマンとして参戦してくれました!

 

2023年 第9号
【シマッチュの口コミローカルガイド】

(72P/A5判/掲載店舗約160)

新型コロナウイルスによって半減した観光客は、やっと増加の見通しに。「奄美」は旅先として注目を集め、10年前と比べて格段に知名度はあがりました。観光情報もSNSを中心に溢れています。

そんな状況のなか、改めて私たちがすべきこととは何なのか。そう考えて思い至ったのが「シマッチュが作っている」ということ。島で生活する私たちだからこそわかる、知っている、伝えたいと思っている、ローカルな魅力を余すことなく伝えていこう、そう思いました。

また、この年は奄美群島の日本復帰70周年。大切な島の節目と「ローカル」というコンセプトが合体した結果、なんともへんてこな表紙ができあがりました。

舞台は奄美市笠利町の宇宿小学校体育館。パワー全開!これぞみしょらんガイド!という表紙となりました。

 

2024年 第10号 【感謝のおもてなし】

(76P/A5判/掲載店舗約170)

そして2024年。無事10号目を迎えました。

表紙製作についての思いはこちらに書いた通りです。

【発刊のお知らせ】みしょらんガイド2024

【表紙製作の裏側】みしょらんガイド2024

 

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10年が経ち、奄美も、みしょらんガイドもさまざま変容してきました。それは、いいことも悪いこともあるし、どうにかなることもあるけれど、どうしようもないこともたくさんあります。

でも思うのは、それでも私たちはこの島で暮らしていくし、営みを続けて豊かに楽しく暮らしていきたいと思っていること。

私たちができることは、変わっていくものを見つめ、変わらないものを大切にしていくということ。

そんなスタンスで、その時その時に私たちが伝えたいと思うことを、これから先もこの冊子のなかで表現し続けていきたいと思っています。

 

(しーま編集長 麓 卑弥呼)

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